2023年9月16日に、日本天文考古学会の第3回研究発表会が愛媛県松山市地域交流センター(三津浜支所)で開催されました。
学会員20名、一般9名の参加でした。三連休のさなかにも関わらず、お集まりいただきありがとうございました。
今回は、南山大学特任研究員の後藤明先生をお迎えし、「天空の物質化:人類はどのように天体を表現してきたか」という基調講演を行っていただきました。前半は、文化人類学や民族学の分野において、なぜか天体を扱う学問が発展してこなかったこと、後半は東南アジア・オセアニアの海洋人類学における天体との関係を多くの例を挙げて説明していただきました。
日本天文考古学会も、天文学を用いて遺跡を研究する学問が日本に存在していなかったために2019年に創立されたものであり、興味深いご講演でした。
研究発表会では4名の学会員による発表が行われました。
1. 上原遺跡の配石と天体観測 柳原輝明
2. 白石の鼻巨石群の太陽観測機能と興居島磐神神社 篠澤邦彦
3. 神谷太刀宮神社の岩石遺構と天体との関係 平津豊
4. 玄武ラインで解く藤原京の謎 桜田和之
研究発表会の後に夕日の観測会を予定していたため、充分な意見交換を行う時間がありませんでしたが、学会員同士は夜の懇親会で議論の続きを行いました。
そして、白石の鼻巨石群に移動して夕日の観測会を行いました。海上の三つ石のスリットに秋分の日の夕日が入るという現象を待ちましたが、雲が厚く見ることができませんでした。残念ではありましたが、三つ石や亀石をじっくりと観察することができました。
記録 事務局
2023年9月17日に、白石の鼻巨石群周辺のバスツアーを開催しました。
前日に松山で開催された日本天文考古学会の研究発表会に参加された18名で、興居島の岩石遺構を見学しました。
興居島は、白石の鼻の向かいにある島で、白石の鼻巨石群との関係が指摘されています。磐神神社は巨岩を御神体とする神社ですが、白石の鼻の夏至の三ツ石に入る太陽光を延ばした場所にピッタリと存在しています。また、鷲ケ巣海岸のカサネ石のスリットには、二十四節気の雨水・霜降の夕日が入ります。
これらの事実は、白石の鼻巨石群の太陽観測機構は、興居島を含んだ大きな範囲で捉える必要があることを示唆しています。当日、学会員の間では、太陽軌道と関係づけられる岩石遺構が他にもあるのではないかと、活発な議論が行われました。
その後、再び白石の鼻巨石群に戻り、ボートで海上の三つ石に近づいて観察しました。その大きさと構造に圧倒され、歓声が湧きました。
記録 事務局