日本天文考古学会創立記念総会

2019年3月30日、日本天文考古学会創立記念総会が開催され、日本天文考古学会が設立いたしました。

天文考古学は、天文学で遺跡を学術的に研究する学会で、日本ではこれまで研究されていなかった新しい学問です。

日本天文考古学会へのご入会、ご支援をよろしくお願いいたします。

 

日本天文考古学会創立記念総会

■まず、柳原常務理事から日本天文考古学会の設立趣旨の説明に続いて、発起人の紹介、そして上田会長による設立宣言が行われました。

学会の役職は、発起人が務めることになり、以下のとおりとなりました。

 

顧問   桜井邦朋 (元神奈川大学教授)

会長   上田晴彦 (秋田大学 副学長)

常務理事 柳原輝明 (イワクラ(磐座)学会副会長)

常務理事 平津豊  (『イワクラ学初級編』著者)

理事   藤由嘉昭 (東亜天文学会東京支部長)

理事   江頭 務 (東洋天文学史研究家)

理事   奥谷和夫 (山添村いわくら文化研究会)

理事   篠澤邦彦 (白石の鼻巨石群調査委員会)

理事   樋口元康 (天文研究家)

理事   木村 稔 (田代オリオン座巨石群研究会)

理事   徳平尚彦 (写真家)

理事   小林由来 (金山巨石群リサーチセンター)

 

■桜井那朋顧問より設立に際してのメッセージをいただきました。

元神奈川大学教授で宇宙物理学者であられる桜井顧問は、1982年に『天文考古学入門』というご著書を出版されて、日本に最初に天文考古学を紹介されました。

お怪我をされて歩けない日々を過ごされているなかメッセージをいただきました。

本学会の創立がすばらしい事業の始まりであることリハビリを努力して、是非研究に参加したいこと、などの情熱に溢れたメッセージでした。

 

 

■上田晴彦会長(秋田大学副学長)の基調講演が行われました。

日本天文考古学会が取り組むべき課題については、日本天文考古学の歴史がヒントとなるとして、日本と世界の天文考古学の歴史を説明されました。

そして、以下のような課題を提唱されました。

1)古代人は東西南北を理解していたか?

2)古代人は冬至や夏至を理解していたか?

3)古代人は暦を開発していたか?

4)古代人は天の星の配置を理解していたか?

さらに、天文考古学の対象とする遺跡と同じ文化圏に属する考古学的に立証された遺跡の存在があると一定程度の信頼性で同じことが主張できるのではないか、として考古学とのコラボの重要性、そして、天文考古学が壮大な学問となるためには海外の遺跡との比較が必要であると話されました。

最後に、日本における天文考古学的な学術研究は始まったばかりであり、大学に専門とする研究者がいない状態である。したがって、愛好家の方々が大発見できる余地がある!

と締めくくられました。

 

■金山巨石群リサーチセンターの小林由来氏による「金山巨石群 暦を知る太陽観察のしくみ」の講演が行われました。

岐阜県下呂市の金山巨石群は、1998年に発見され、金山巨石群リサーチセンターによって詳細な調査が行われている遺跡です。

多くの写真と数字で、巨石に備わっている暦の機能を説明され、エジプト文明との比較をされるなど、まさに天文考古学の研究を実践されていることが良くわかる講演でした。

 

■最後にイワクラ学会の副会長の柳原輝明氏による「星と古代遺跡」の講演が行われました。

2001年に、奈良県山添村の鍋倉渓を天の川に見立てたとき、王塚がデネブ、八畳岩がベカ、天狗岩がアルタイル、竜王岩がアンタレスの位置になるということを発見されたこと、その後の研究で神野山全体に巨石が設置され、天球を再現していることが発表されました。さらに日本の各地に巨大な北斗七星が描かれている可能性があること、各地の斜めの立石が星を指しているのではないかなど、今後の天文考古学会の研究対象を提案されました。

 

記録 事務局