日本天文考古学会シンポジウム及び第3回総会が奈良県山添村にて2021年11月6日に開催されました。交通の便が悪く、十分な宣伝も行えなかった中、20名弱の皆さんに参加いただきありがとうございました。
山添村の神野山には、真っ黒い石が累々と並ぶ鍋倉峡という場所があり、その異様な光景が天然記念物に指定されています。柳原輝明氏は、この光景を天の川に見立てた時に周りの名前が付いた巨石が、夜空の星の配置と一致することを2001年に発見されました。
古代人が、天上の星を地上に写して、この光景を造り上げたのではないかという推測のもと、研究が続けられています。 シンポジウムでは、神野山の天球写し、神野山山頂に立ち昇る天の川、天文観測装置「王塚」、岩屋の太陽観測、星を指す斜めの立石など柳原氏による神野山巨石群の研究発表がありました。
桜田和之氏からは、天武から持統期に着工された、新益京と藤原京は、同じものというのが、考古学の常識ですが、桜田氏の「天の中軸線」理論を用いると、新益京は条理の基準を間違えた失敗作で、それを無理やり修正したのが藤原京という事になり、藤原京の謎が解けるとの発表でした。 どの発表も考古学に一石を投じる内容であったためか、中身の濃い議論が行われ、日本天文考古学会のこれからの発展を確信するシンポジウムとなりました。
翌日は、奥谷和夫氏の案内で、神野山巨石群の見学会が行われ、山添村歴史民俗資料館、菅生愛宕さん、鍋倉渓、竜王岩、天狗岩、王塚、八畳岩、北斗岩、岩屋・枡形岩、天王の森を巡りました。 岩石遺跡を目の前にした学会員によって熱い議論が行われました。